町民から親しまれる前方後円墳 市尾墓山古墳
近鉄吉野線の市尾駅からほど近く、田畑に囲まれた高さ10m・長さ約70mの前方後円墳です。埋葬者は不明ですが、築造された時期は6世紀初めごろと推測され、古墳時代後期を代表する古墳とされています。平野部にある前方後円墳であることや、大和盆地における初期の横穴式石室、巨大な凝灰岩をくり抜いた家形石棺などが見つかった貴重さから、1981年には国指定の史跡に登録されました。墳丘は2段に築かれており、1段目と2段目のあいだのテラス部分に並べられた埴輪、石室を作るときに地下に埋め込まれた基礎石、そのほか鳥や笠などの木製品も出土しました。
ほどよくこんもりとした墳丘の上に登ると、空が大きく感じられ、高取町の街並みを望むことができます。よく晴れた穏やかな日、シンボルツリーのような紅葉がそよ風に揺れ、山裾を走る近鉄電車の「ガタンゴトン」という音が聞こえてくる、素朴な町の魅力を感じさせてくれるスポットです。
